新着情報
- 2011年10月31日の日経産業新聞で紹介されました。 (2011/11/09)
- このたび東日本大震災により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げますとともに、被災都市の一日も早い復興をお祈り申し上げます。 (2011/04/04)
研究室
- vol.15.大型商業施設の出店が周辺住宅地価に及ぼす影響は? (2010/06/16)
- vol.14.「大津市瀬田・石山・湖西地区」住宅地の価格動向について (2009/09/24)
- vol.13.サブプライムローン問題と不動産証券化 (2008/09/01)
- vol.12.マンション価格の動向についての考察@大津 (2008/04/07)
- vol.11.改正建築基準法が施行されて半年、その影響は!? (2007/12/26)
- Vol.10農地における土壌の良否の判断について (2007/07/02)
- vol 9.工場立地法の規制緩和検討等に見られる施策と今後の工場地の需要動向に関して (2007/03/19)
- vol 8.滋賀県における地価の個別化についての考察 (2006/11/01)
- vol 7.PFIの普及と不動産鑑定の役割に関して (2006/10/13)
- vol 6.国土交通省による土地取引価格情報の公表 (2006/09/05)
豆知識
- Vol.60 生産緑地について (2012/05/14)
- Vol.59 工場財団 (2012/04/26)
- Vol.58 改正森林法について (2012/04/05)
- Vol.57 「賃貸住宅を借りる時のポイント」~最近の判例を踏まえて~ (2012/03/08)
- Vol.56 CRE戦略について (2012/02/09)
- Vol.55 地盤の液状化について (2011/11/28)
- Vol.54 法定外公共物である里道・水路について (2011/11/17)
- Vol.53 各種複利計算について (2011/10/19)
- Vol.52 建設協力金について (2011/10/17)
- Vol.51「公図混乱地域」について (2011/10/05)
研究室
vol 9.工場立地法の規制緩和検討等に見られる施策と今後の工場地の需要動向に関して
2007年の年初、「経済産業省は地方の産業空洞化対策として、公害防止の観点から30年以上にわたって企業を規制してきた「工場立地法」の規制を大幅に緩和する方針を固めた」と新聞等で報道されました。2003年以降、製造業の国内回帰が活発化しています。今回の研究室では、工場立地に関する施策と製造業のニーズの現状を整理し、今後の工場地の需要動向を考察したいと思います。
1.工場三法の変遷
高度成長期、都市部への産業・人口の過度の集中、環境の悪化などの問題が深刻化したことを受けて、工場三法と呼ばれる法律が制定されました。
工場三法とは、工場等制限法*1、工業再配置促進法*2、工場立地法*3をいいます。
*1正式には「首都圏の規制都市区域における工場等の制限に関する法律」及び「近畿圏の規制都市区域における工場等の制限に関する法律」
原則1000m2以上の工場新増設を制限
*2工業集積地からの移転促進。事業者に補助金等の支援措置を実施。
*3特定工場(敷地面積9,000m2以上又は建築物の建築面積の合計が3,000m2以上の大・中規模工場)を新増設する場合、生産施設に面積制限を課し、一定規模の緑地、環境施設の確保を義務づけるもの。
これらの法律は、制定当時の諸問題の解決に向けて必要な措置であったといえます。しかし、最近5年間、工場三法は相次いで廃止・緩和の措置がとられています。工場三法は、80年代から90年代にかけての工場の海外移転に拍車をかけたと考えられており、工場立地に関する規制を緩和し、国内での工場新設・増設等を促進することが必要であることや、環境技術の進化等により、環境対策を目的とした法制定当時の規制内容の意味合いが薄れてきている等がその理由です。工場三法の廃止・緩和は、国内への工場立地を促進する要因として作用すると考えられます。なお、工場三法の変遷は次の通りです。
1964年 工場等制限法 制定
1972年 工業再配置促進法 制定
1973年 工場立地法 制定
1980~90年代
工場の海外移転による製造業の空洞化
2002年 工場等制限法 廃止
2004年 工場立地法の規制緩和
⇒生産施設の面積制限緩和、地域ごとに柔軟な運用ができるよう地方自治体に裁量権が拡大される
2006年 工業再配置促進法廃止
2.製造業からみた工場立地の動向
国内設備投資回復の動きをとらえて、「国内回帰」という言葉がよく使われますが、海外移転した工場が再び国内に戻ってきているのでしょうか。
この点について、数々の研究レポートがシンクタンク・政府機関等から公表されています。これらレポートの概要は、次の通りです。
近年、国内での設備投資が増加しているものの、海外での設備投資意欲はそれ以上であり、依然として海外生産シフトが続いている。
海外生産を縮小し国内生産を増加させるような、海外投資と国内投資が代替関係にあるものではない。
国内では高付加価値商品、海外では汎用品を生産するという傾向があり、国内と海外での役割分担が明確になってきている。
国内での設備投資回復は、国内回帰というよりむしろ、全てを海外工場に求めることは無理なことがわかり、国内生産での優位性が見直された結果の企業行動であり、企業の立地最適化に向けた過程で起きている現象である。
このように、デジタル家電大手を中心とした国内設備投資の動きは、「国内回帰」というよりも、立地最適化を目指した結果と考えられています。今後も労働集約的な生産は海外に移転することが予測され、国内での工場立地は、海外よりも優位性が認められる場合に限られるでしょう。
国内立地の優位性としては、次の点が挙げられます。
消費地に近いことで、消費者のニーズをダイレクトに生産に反映できること
研究開発部門に近い場所に生産部門を持つことにより、市場と生産部門の双方からの情報を研究開発にフィードバックできること
技術の進化は生産コストの低減に大きく寄与するが、技術進歩への対応には国内に工場を持ち、開発と生産の一体化が必要であること
製造技術の海外流出を回避するためのブラックボックス化の推進に寄与すること
日本メーカーが競争優位に有るデジタル家電では、材料・部品などでも高い技術力を有する企業群が国内に集積しており、先端製品での産業集積力をフル活用でき、工場の早期立ち上げに有利であること
3.今後の工場地の需要動向について
それでは、今後の国内工場地の需要動向について、関西エリアを中心に考察したいと思います。
まず、経済産業省「工場立地動向調査」の結果より、海外立地検討を行うも、関西への立地を選択した理由は以下の通りです。
市場への近接性8件
国・県・市町村の助成・協力7件
良質な労働力の確保6件
関連企業への近接性5件
産業基盤が整備されている5件
原材料等の入手の便4件
流通機関が整備されている4件
政情・治安の安定4件
学術研究機関の充実2件
言語・文化・生活様式の都合2件
(複数回答)
企業が国内に立地する条件をまとめると
①大都市圏に近接していること(市場への近接性)
②良質な労働力の確保が容易であること
③高速道路・港湾等の交通インフラが整備されていること
となるでしょう。
これら全てを満たすエリアは、首都圏、中部圏、関西圏といった大都市圏にほぼ限定されると言えます。関西エリアでは、既に大手製造業を中心に生産・研究施設が集積していますが、相対的優位性があるエリアでは研究開発施設と生産施設とを連携させるなどして、さらに集積度が高まることが予測され、工場三法の緩和・廃止は、これらを促進する要因になると考えられます。
ただ、労働集約度の高い中小製造業は、大手製造業の海外シフトに伴って受注が減少する可能性があります。今後は、大手製造業の部品・資材ニーズに応えられる技術力・開発力を持った中小製造業からの工場地需要や食品工業等の国内消費向け製造業からの需要がある一方で、それ以外の製造業からの工場地需要は停滞する可能性が予測されます。
全国には数多くの工業団地が建設され、又は建設中ですが、地方圏の工業団地では用地取得費が廉価であること以外に目立った優位性がアピールできない限り、今後も苦戦を強いられることが予測されます。
【企業立地に関するHP】
(財)日本立地センター
http://www.jilc.or.jp/
京都府企業立地サイバーセンター
http://www.pref.kyoto.jp/sangyo/
滋賀企業立地ガイド
http://www.pref.shiga.jp/f/shinsangyo/richi/index.html
大阪府企業誘致推進センター
http://www.pref.osaka.jp/ritchi/index.html
ひょうご・神戸投資サポートセンター
http://www.hyogo-kobe.jp/his/index.html
奈良県商工労働部工業支援課
http://www.pref.nara.jp/kogyo/index.htm
和歌山県企業立地ガイド
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/062200/ritchi/index.html

