研究室

vol.13.サブプライムローン問題と不動産証券化

2008/09/01

アメリカの住宅ローン証券化(セキュリタイゼーション)によって火がついた証券化の波は、昨今、日本でも激しさを増していることはすでに周知のことであります。証券化は「間接金融」から「直接金融」への転換とも言え、世界経済の潮流となっています。
しかし昨年から、証券化に重大な問題が発生しました。アメリカの「サブプライムローン問題」です。サブプライムローンは、低所得者向け住宅ローンとして、米国内に巨大市場が存在します。2007年夏頃、これに大量の延滞が発生し、サブプライムローンを組み込んだ証券化商品が暴落し、アメリカの大手投資銀行やメガバンクは巨額の損失処理を迫られ、その影響で日本の金融機関も損失計上を余儀なくされた他、モノライン問題に派生し、金融市場は混乱、世界経済への影響は今も継続しています。

 今回は、一連の問題の発端となった「サブプライムローン問題」の構造と証券化との関係について検証します。

1. 「サブプライムローン」とは

アメリカを発信とする金融不安においては、「サブプライムローン」という言葉がキーワードです。「サブプライムローン」とは、厳密な定義があるわけではなく、リスクの高い借手への住宅資金融資と考えてください。年間所得が2万5千ドル(約300万円)以下の低所得者層を対象とする住宅ローンと一般的には言われています。信用度が低いために高めの金利が付され、これに対して通常の金利が適用されるのが、「プライムローン」です。

サブプライムローンに滞納者が大幅に増えたのは2007年からであり、その最大の原因は不動産市況の悪化(バブルの崩壊)です。アメリカの不動産市場は景気拡大と金融緩和を背景に拡大し、バブルと評されるくらい価格上昇を続けていました。しかし2007年はじめ、FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ懸念から金融引き締めに転換し、金融面での支援が無くなったことにより不動産の先高予想も減退し、不動産価格は急落に向かいました。 

2. サブプライムローンの構造及び日本の住宅ローンとの違い

サブプライムローンは、期間30年の固定金利が標準です。①当初2~3年の金利を極端に抑え、3年目から高い金利に切り替わるもの<ハイブリッド型>と、②当初の2~5年程度は元本返済を行わず、利息だけを支払い、この期間終了後、通常より早いペースで返済するもの<インタレスト型>等があります。これらは、当初の借り易さを強調しています。この優遇期間に不動産価格が上昇していれば、サブプライムローンから金利の低いプライムローンに切り替えることが自由に出来、問題はありません。不動産価格の上昇による時価からローン残高を差し引いた純不動産価値の範囲で借り換えが出来ます。前述の2007年からの不動産価格の下落によりサブプライム層は苦境に陥り、高金利による支払額の急増に耐え切れず、延滞率は高まり関連金融機関の信用不安が株価急落にも影響しました。

サブプライムローンと日本の住宅ローンの違いは、ノンリコースローンとリコースローンであることです。ノンリコースローンとは返済責任がローンの対象となる不動産ならびにそれらに関連する権利利益(責任財産)に限定されるローン商品です。通常のローン(リコースローン)が個人及びその保証人がローン完済までのすべてのリスクを背負うタイプのローンであるのに対し、ノンリコースローンは責任財産のみにリスクが限定され、仮に返済が滞っても、責任財産以外に個人が保有するその他の資産には強制執行されません。

サブプライムローンは、アメリカのものだけではなく、「日本版サブプライムローン」の存在についても言われています。現在でも「当初○○年間は低い金利で、それ以降金利が上がるタイプ」のローンの商品もあり、厳しい返済が起こりえます。また、1998年頃、当時の住宅金融公庫が「ゆとり返済」を打ち出し、頭金ゼロとし、年収の基準を引き下げていました。当初は金利は低く、あとから大幅に金利アップする構造がサブプライムローンに酷似しています。当時は賃金アップ、景気回復が見込まれていましたが、年金や税金負担が上がり、現在、旧住宅金融公庫ローンの破綻金額が増加してきています。

 

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