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豆知識
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- Vol.54 法定外公共物である里道・水路について (2011/11/17)
- Vol.53 各種複利計算について (2011/10/19)
- Vol.52 建設協力金について (2011/10/17)
- Vol.51「公図混乱地域」について (2011/10/05)
豆知識
Vol.54 法定外公共物である里道・水路について
里道、水路と呼ばれる法定外公共物という言葉は一般の方には、馴染みのない言葉かもしれません。
しかし実際には、不動産の鑑定評価業務に従事していると、法定外公共物が一般の方の敷地内に介在しているケースを見かけることが間々あります。また鑑定評価を行う上で、法定外公共物が敷地内に介在していないかどうかの確認は、我々が必ず行う作業の一つです。
今回の豆知識では、この聞きなれない法定外公共物という、意外に身近にあるかもしれない問題を、簡単にご説明したいと思います。
1.「法定外公共物」とは
広く一般の用に供されている道路、河川等の道路法(注1)、河川法(注2)等といった特別の規定がある法律の適用又は準用される公共物は通常、「法定公共物」と定義されます。道路や河川と聞いて、もしくは「公共物」と聞いて一般に想像されるものは、これらの領域にあるといってもよいでしょう。言葉のとおり、「法」に「定」めがある「公共物」と理解するとわかりやすいと思います。
これに対し、特別法の適用や準用を受けないもの、つまり特別の規定がない公共物を「法定外公共物」といい、代表的なものとして「里道」や「水路」があります。これは法務局(登記所)に備え付けの地図(不動産登記法第14条地図、いわゆる公図)では「道」や「水」と表示されていたり、また以前は公図上、里道は赤色、水路は青色に着色されてきたことから、赤道、青線ともよばれてきました。

里道、水路がそれぞれ赤色、青色で表示された旧公図
里道、水路は、その多くが特定の土地のためではなく、その地域に存在する周辺の複数の農地や林地のために存在する(もしくは存在した)ため、地域住民の方々が共同で利用してきたという歴史を有することが多く、一種の地域の共有財産としての性格を有してきたため、その敷地は国有財産とされてきました。
しかし、長い時間の経過の中で周辺の農地や林地が開発されたり、利用されなくなるにつれ、不要となり、使用されなくなる里道や水路も出てきました。
これらの中には、里道や水路の外観が残るものもありますが、中には完全に機能を喪失し現況が廃滅して、事実上、周辺の民有地の一部となっており、公図上でのみ存在する法定外公共物もあります。そのような法定外公共物の場合、現実には敷地の一部として私人によって利用され、その上に家が建っているということもあります。
このため、相続や売買になり、法務局で公図を取得して初めて、「うちの家の敷地の中に、里道や水路が存在している」と知り、驚かれることになるのです。
2.法定外公共物の現状
法定外公共物は長い間、所有が国有財産であることは通説でしたが、法律上の定めがないため、管理を行うものが誰なのかなど、扱いがはっきりせず、長い間、学説上、争いがありました。
この状況を変化させたのは、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)」(いわゆる地方分権一括法、以下同)です。
この法律により、今まで国有財産であった里道・水路のうち機能を有するもの等が、平成17年3月末までに国から各市町村に譲与され、市町村が管理(所有)することになり、既に機能を喪失していた里道・水路等(旧法定外公共物)は、国(財務局)において管理(所有)がなされることになりました。
3.自分の敷地内に法定外公共物があったなら
もし自分の敷地内に法定外公共物があった場合の、購入等の一般的な流れを簡単にご紹介したいと思います。
法定外公共物が介在した場合、まず問題となるのは、その法定外公共物が機能を既に失っているかどうかです。
この判断は法定外公共物ごとになされるのが基本ですが、法定外公共物は成立時の性格からわかるように、「地域に存在する周辺の複数の農地や林地のための土地」であり、その機能は、今もまだ周辺の土地のために使用されているかどうか(もしくは使用される可能性があるかどうか)で、判断されることが多いようです。
(1)機能を失っていると認められる場合
法定外公共物が、その機能をすでに失っている場合、用途廃止手続きを経た上で、各市町村の普通財産として払い下げを受けることができます。
その手順を関東財務局ホームページ(後掲URL参照)より、簡単にご紹介したいと思います(なお、これは関東財務局管理の国有地となっている旧法定外公共物の場合の処理ですが、市町村においても、これに類似した手順が必要となることが予想されるため、例として取り上げさせていただきました)。
①機能が失われているかどうかを確認する
現に公共の用に供されているかどうかを、事前に市町村に照会及び確認を行ないます。
②境界確定手続き
払い下げを受けるにあたって、その範囲を明確にする必要から、境界を確定する必要があります。なお、申請にあたっては、実際の境界確定に関する業務を代行する実務取扱者(土地家屋調査士・測量士等)を置くことができます。
③払い下げ申請手続き
次に、払い下げ手続きのための申請が必要となります。これには①住民票(法人の場合は商業・法人登記簿抄本及び印鑑証明書)、②利用計画書、③関係図面(位置図、現況図、実測図等)、④既往使用料債務確認書(財産を使用されている場合)、⑤その他必要と認める書類などが必要となるケースが多いようです。
④費用の支払い
売払価格については、周辺の取引事例や地価公示などを考慮し算定されます。また売買契約の締結に必要な費用としては、契約書に貼付する収入印紙代・既往使用料相当額(財産を使用している場合)、さらに所有権移転登記等にかかる登記費用も買受人の負担となります。
(2)機能が残っている場合
依然、機能を有している(もしくは機能を有していると行政に判断される)法定外公共物については、用途廃止の手続きができず、そのままでは売り払いの手続きができないことになります。
その場合、従来と同じような敷地利用ができず、大きくその土地の効用が減じられる可能性が生じてしまいます。このため従来あった法定外公共物と同じ機能を確保することにより、当該法定外公共物を付け替える(移動させる)ことが認められるケースが多いようです。
たとえば、敷地の真ん中に里道や水路があり、そこに家を建てたいといった場合、敷地の端に里道や水路を付け替えることで、敷地全体の一体利用を可能にするものです。ただし、この作業には市町村などの管理者の承認はもちろん、自治会長、水利関係者、隣接地所有者および利害関係人などの同意が必要となることがあり、同時に登記や法務局備え付けの公図の変更手続きなども必要となります。
また、払い下げが認められない法定外公共物の場合、その法定外公共物を占有して使用する許可(占有許可)をとることで敷地を一体として利用することができる場合もあります。
初めにご説明した通り、個人の方には気づきにくい法定外公共物という問題を今回の豆知識ではごく簡単にご説明してまいりました。
ここまでのご説明でご理解いただけるように、単に、使っていない里道、水路が敷地内にあるということで、このような作業と費用が必要になることになります。時間的、費用的な余裕があるときであればよいのですが、そうでないときには、思わぬ問題として頭を悩ませることになりかねません。不安がある方は管轄する登記所で法定外公共物がないかどうか、一度、法務局保管の公図を調べてみることをお勧めいたします。
注1 道路法…道路に関する定めている法律。高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道について、路線の指定および認定だけでなく、管理保全、費用負担区分などの規定をもつ。
注2 河川法…河川を一級河川、二級河川、準用河川に区分し、これらの利用、管理などを定めている法律。
【参考】
関東財務局WEB―国有財産について よくある質問と回答―
<以下、「関東財務局ホームページ―国有財産について よくある質問と回答―Q12 旧法定外公共物(里道・水路等)の購入等手続きのながれは?」>
(http://kantou.mof.go.jp/kanzai/zaisan/qa.htm#Q12)

