豆知識

Vol.49 建物の面積についてー同じ建物でも面積が違う ?ー

2011/05/19

今回の豆知識では、建物の面積について考えてみます。
建物の面積は、容積率の計算で使用される場合、建築確認申請で使用される場合、登記で使用される場合、課税のための計算で使用される場合、建設業者の工事で使用される場合があります。そして、同じ建物でも、使用される場合によって、面積が異なることがあります。
以下では、
●「あなたの家の面積は?」と聞かれたとき、何を根拠とした面積で答えているのか。
●建物に関する色々な資料により、自分の建物の面積が異なるのはなぜか。
といったことを理解・整理するために、建物の面積を、その根拠に基づいてまとめようと思います。

(1)法定床面積※

法定床面積とは、建築物の各階又はその一部で、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を云います(建築基準法施行令第2条)。
なお、大まかではありますが、玄関ポーチや奥行2m以下のバルコニー、出幅が0.5m以下の出窓、吹きさらしの外部廊下、外部階段などは、建物の外部のため、法定床面積には含まれません。また、一定の条件(高さ1.4m以下等)を充たす小屋裏物置(ロフト)も法定床面積に含まれません。
そして、各階の法定床面積を合計すれば法定延床面積が求められます。建物の全体の面積を考える場合の基本となります。
法定延床面積は、建築確認の際の建築確認申請書に記載されています。また、役所が保管する建築計画概要書にも記載されています。
※以下、「法定」とは建築基準法で定められていることを意味します。

(2)容積対象床面積

法定延床面積には算入されるものの、「容積率計算上の延べ面積には算入されない部分」があります。容積対象床面積とは、法定延床面積からこの部分を除いた面積のことです。読んで字の如く、建物の容積率を計算する場合に使用される面積です。
容積対象床面積は、建築計画概要書に記載されています。
容積対象床面積に含まれない例として、次のような場合があります。これらの例は、土地の有効活用に大きく寄与することになりました。

●駐車場・駐輪場の用途に供する部分の床面積は、当該部分を含んだ建築物全体の延べ床面積の5分の1を限度として、容積対象床面積に算入しません(建築基準法施行令第2条)。

●住宅地下室の容積率不算入
建物の地階でその天井が地盤面から1m以下にある住宅の用途に供する部分の床面積は、当該部分を含んだ建物全体の床面積の合計の3分の1を限度として、容積対象床面積に算入しません(建築基準法第52条第3項、平成6年の法改正により導入)。

●共同住宅の共用廊下等の容積率不参入
共同住宅の共用廊下、階段、エントランスホール、エレベーターホール等は、容積対象床面積に算入しません(建築基準法第52条第6項、平成9年の法改正により導入)。

(3)登記床面積

不動産登記法による面積です。法定床面積と同様、登記床面積も、各階ごとに、壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積によります(不動産登記規則第115条)。
ただし、天井の高さ1.5メートル未満の地階及び屋階といった特殊階は床面積に算入しない(不動産登記事務取扱手続準則第82条)というような、建築基準法と異なる規定も設けられています。
登記床面積は、法務局の登記全部事項証明書に各階の面積が記載されており、同じく建物図面には、各階の平面図と面積が記載されています。さらに、登記床面積は課税の計算にも使用されることから、市区町村から毎年送付されてくる固定資産税課税明細書にも記載されています。

(4)施工床面積

施工床面積とは、建設業者が実際に施工する部分の面積であり、工事する部分全てが含まれます。よって、法定延床面積に含まれない部分も含まれることになります。
したがいまして、外部廊下、外部階段、バルコニー等の法定延床面積に含まれない部分が多い共同住宅の建物では、法定延床面積と施工床面積が、やや大きく異なるケースがあります。
施工床面積は、特段、法的な定義があるというわけではなく、建設業者が重視する面積ということになります。例えば、屋外廊下は、法定床面積には算入されないものの、廊下として工事を施工しなければならないのですから、その面積と工事費は、法定床面積に算入される部分と同様に重視されます。ベランダや屋外階段も同じです。
施工床面積は、建設業者が作製する設計図書等に記載されている場合があります。

(5)面積の算定方法と建物

上記のような面積の算定方法の違いが、建物の設計等に影響を与えている場合があります。本稿の最後として、この点についてまとめてみます。

●アパートの廊下と階段
①吹きさらしの外部廊下が多い
吹きさらしの外部廊下は法定床面積に算入されないので、アパートにおいては、外部廊下が設置されることが多くなります。

②外部階段が多い
外部階段も法定床面積に算入されないので、アパートにおいては、外部階段が設置されることが多くなります。外部階段は、工事費が内部階段よりも安いことが一般的であり、これも外部階段が採用される理由の一つです。

●マンションの共用部分
共同住宅の共用廊下、エントランスホール、エレベーターホール等の容積率不算入は、マンションの設計等に大きな影響を与えます。
例えば、高層マンションは、エレベーターホールや階段等の共用部分の面積が広いために、平成9年に容積率不算入の制度が導入されるまでは、建物全体に占める専有面積の割合が低かったのです。結果的に、建築費を、少ない専有部分に転嫁することになり、高い販売価格となって市場競争力も低かったのです。
ところが、平成9年に容積率不算入の制度が導入された後は、ホテルのようなゆったりとしたエントランスホールやエレベーターホールを確保することが法的に容易となり、一方で、多くの専有部分を確保できるようになったため、市場競争力が高まることになりました。
また、屋外階段として床面積から除外する従来からの方法のほかに、屋内階段としつつ容積率からは除外する方法も可能となりました。このため、相対的に快適性に優る屋内階段をもつ共同住宅の建築が法的に容易になり、マンションの共用部分は、ゆとりがあるものが多くなっています。

[参考文献・出典]
「建物の鑑定評価必携」財団法人建設物価調査会

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