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関西総合鑑定所の研究室

vol 2.■テーマ「銀行の不良債権処理と地価の推移について」(平成18年3月1日)

バブル経済崩壊後、地価は長期間下落基調にありましたが、平成17年に発表された地価公示、都道府県地価調査の各結果にみられるように、三大都市圏を中心とする都市部の一部では地価下落が底打ちし、上昇に転じる地点も見られるようになりました。 また、日本経済の全体としても「デフレからの脱却」という言葉を昨今よく耳にします。90年代初頭から始まった不況は、土地・株などの資産デフレが大きく影響しています。バブル経済崩壊により、株高・高地価から一転して、資産デフレにより企業のバランスシートが悪化、逆資産効果による個人消費の急速な冷え込みにより、経済は減速し、金融機関は多額の不良債権を抱えることになりました。あれから15年が経ちましたが、今日の地価はどの様な状況にあるのでしょうか。

1.全国銀行の不良債権残高の推移

次のグラフは、全国銀行の不良債権残高(金融再生法開示債権残高)です。(金融庁公表資料より作成)
全国銀行の不良債権残高と不良債権比率の推移


平成14年3月期(平成13年度)以降、全国銀行の不良債権残高は減少し続け、不良債権比率は8.4%から3.5%へと低下していることがわかります。この期間、全国銀行は不良債権処理を進める中で多くの担保不動産を売却等にて処分したと思われますが、この期間に市場に担保不動産が大量に供給された事は、地価にどの様な影響があったのでしょうか。

2.全国銀行の不良債権処分損と地価との関係

次のグラフは、全国銀行の不良債権処分損と、地価指数及び地価変動率との関係を表したものです。ここでの地価指数及び地価変動率は、地価のトレンドをよりビビッドに反映するものとして三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)の全用途平均を採用しています。(金融庁公表資料・国土交通省公表資料より作成。地価指数は平均変動率の累積で地価を指数化している。また地価指数及び地価変動率は、年度内の1月1日時点の地価公示データを対応させている。例えば平成5年3月期の全国銀行不良債権処分損データには、平成5年1月1日時点の地価公示データを対応させている。)
全国銀行の不良債権処分損と公示価格による地価指数との関係

全国銀行の不良債権処分損と地価変動率の推移

3.全国銀行の担保不動産の売却状況と地価との関係

次のグラフは、全国銀行の担保不動産の評価額(処分可能見込額)に対する売却実績額の割合(以下ここでは「売却実績額の対評価額割合」という。)と、地価指数との関係を表したものです。(金融庁公表資料・国土交通省公表資料より作成)
全国銀行の担保不動産売却価格と地価指数の推移

1.及び2.の項で、平成14年3月期(平成13年度)以降、全国銀行の不良債権残高及び不良債権処分損が減少し続けていることがうかがえました。 上のグラフをみると、平成14年3月期(平成13年度)以降も地価は下落を続けているのに対し、担保不動産の売却実績額は、評価額に対して上昇しています。

次のグラフは、売却実績額の対評価額割合と、地価変動率との関係を表したものです。
全国銀行の担保不動産売却価格と地価変動率の推移
売却実績額の対評価額割合が上昇し、また地価変動率も下落幅を縮小させ改善傾向にあることがうかがえます。

4.物価変動と地価について

最後に過去10年間における物価変動と地価との関係をみておきましょう。
GDPデフレータの対前年度比と地価変動率の推移

過去10年間、GDPデフレーターからみた我が国のマクロ的な物価変動は、年率1%前後のデフレ基調で推移しており、地価も下落基調にあります。 しかしながら、平成16年3月期以降、GDPデフレーターが1.2%の対前年比マイナスで推移していることに対し、地価の下落率は大幅に縮小しており、マクロ的に見て地価が大きく改善していることがわかります。

5.最後に

地価下落等の資産デフレにより増加した不良債権の残高は、不良債権処理の過程で地価下落を誘引する要因のとなり、また、地価下落が不良債権を増加させる要因の一つとなっていたと思われます。しかし、不良債権処理が進むにつれて、都市部を中心に需給バランスから地価・不動産価格の下落が縮小し、一般的な景気回復傾向もあり、全国銀行においては不良債権残高も大幅に減少してきているようです。
金融機関の不良債権処理に目途がつくことが、地価の底打ちを本格的なものとする要因の一つとなり、今後は地価が強含みで推移する局面が見られそうです。
 
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